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「ある展覧会で白黒の木版画を観てひき込まれました」
堀田 色つきの版画を始められたのはいつごろからですか。
ジュディ 最初のころは白黒の作品ばかり作っていたのですが、日展に入選して三回目の応募のときに、日展の伊藤清永先生に「少しだけ色を入れてみたら」と言われたんですね。
 そんなとき、京都を歩いていたら、「炭屋」という揚げ屋さんの紅殻色の漆喰の壁が目にとまって、これなら描けるかもしれないと思ってやってみたのです。
堀田 そのときに描かれたのが一九八五年、日展に入選された「揚屋」という作品ですが、紅殻と白黒で描き、グレーで陰影をつけたこの作品は、地味でありながら派手さもあってひじょうに趣きがありますね。近年は木々の緑を鮮やかに表現した風景や花なども描かれていますが、版画でむずかしい題材というのはあるのでしょうか。
ジュディ どうしても踏み込めないのが人物ですね。人物だけは版画を使ってなかなかうまく表現できないんです。でも人物を描かないのには別の理由もあって、私、絵を描いているときは、いつも絵のなかにいたいと思っているんですね。
堀田 見る人が絵の主人公であるということですね。
ジュディ 以前ドイツで展覧会をしたときに、「なぜあなたは人を描かないのですか」って聞かれたので、「この絵のなかで時間を過ごしたいと思って描いているから」って答えたんです。そうしたら「ぼくもそうなんだよ。そこにいたいと思って絵を選んでいる」って言ってくださって、わかってもらえたことがほんとうににうれしかったですね。

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