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心を開くように話しかける

堀田 初対面の人の心を開かせるコツみたいなものはあるのですか。
大石 コツというのはとくにありませんが、私が相手に対して心の壁をつくってしまうと相手も警戒してしまうので、気さくに話しかけてみることから始めて、心を開くようにします。
 話していくなかで「あなたたちのことを知りたい。この状況を世界の人たちに伝えたいと思っている」と、こちらの思いを伝えるようにしています。
堀田 戦渦のなかでは心を閉ざした方もいらっしゃいますよね。
大石 それはもう大勢いらっしゃいます。心のなかで拒否している人は表情を閉ざしてしまうので、思うようには撮れないんですね。ですから、私を受け入れてもらえていない、と感じたらシャッターはきりません。相手にも迷惑をかけてしまうことになりますからね。
堀田 大石さんの写真集には、それぞれの写真にキャプションが添えられています。「痛がるというのは叩かれて痛いのではなく、心が痛いんだ」という文章を読んだときに、なんて奥深いことばなんだろうって感動しました。写真だけではなく、ことばがあることで想像を膨らませ、読者はより心を打たれるのではないかと思いましたね。
大石 フォトジャーナリストにもいろいろなタイプがあって、戦場の弾丸の飛び交うところで臨場感ある写真を撮る方もいらっしゃいますが、私は写真を通して戦渦のなかで暮らす人たちの“心のなか”を伝えたいと思っているんですね。そこの人たちが戦争についてなにを思い、なにを訴えているのか。そういう人たちの心を伝えるうえで、ことばというのはとてもたいせつな要素なんですね。
堀田 報道やドキュメンタリー写真というのは、あるがままに伝えるだけでは伝わりきれない部分が必ずあると思うんですね。彼らの心の奥底にある怒りや悲しみを、レンズを通して読み取り、ことばで伝える。ほんとうにすばらしいことだと思います。

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