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長く歌い続ける秘訣は登板間隔を保つこと

堀田 岡村さんの声域はバスですが、低音で響くバスの声というのは、オペラのなかでもひじょうに印象に残るような気がします。
岡村 そういっていただけると、うれしいですね。バスという声域は、当初のオペラでは、ほとんど使われていなくて、ヴェルディの時代ぐらいから本格的に登場するようになりましてね。
堀田 ヴェルディといえば、ことし生誕200年ですよね。

「オペラはその国の文化度を測るバロメータですね」
岡村 ヴェルディの時代は、産業革命で富裕層が増えて、オペラが花開いた時代でした。ミラノのオペラ座も大きくなってオーケストラも大編成になりました。オーケストラに負けないような声が必要だということで、バスが使われるようになったといわれています。
堀田 それにしても岡村さんは、いまも艶やかな声をおもちで、すごいなあと思っていますが、なにか秘訣があるのですか。
岡村 ぼくは、いま82歳なのですが、歌手としては日本でも最高齢です。
堀田 それにしては、声も若いし顔のつやも若いですね。
岡村 この年齢になっても歌い続けられる秘訣は、野球のピッチャーと同じで、力の配分を考えることですね。
 ピッチャーは、何日か間隔をあけて登板しますね。ぼくは、だいたい5日ごとに登板するようにしているのですが、1か月登板しないオフがあっても、声は五日ごとに出すようにしています。
堀田 からだや声を休ませる時間は必要だけれども、適度にトレーニングをしているということですね。
岡村 ヨーロッパの小さな劇場の専属歌手として歌っていたときに、ぼく以外に主役を歌う第一バスがいなくなってしまいますから。大劇場ケルンでは、ぼくのほかに三人の第一バスがいましたが、彼らが病気や他の劇場にゲスト出演でぼく一人で1週間に7つの役をやったことがあったんです。
堀田 それはたいへんでしたね。
岡村 「お前がいてくれて助かったよ」って劇場からは感謝状をいただきましたが、翌年はやはり声がよく出ませんでしたね。
堀田 ピッチャーも投げ過ぎると肩を痛めてしまいますが、オペラ歌手も声を使い過ぎないことがたいせつなんですね。

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