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日本文化を誤認したまま
上演されてきたオペラ「蝶々夫人」

堀田 岡村さんは2011年にイタリアでプッチーニのオペラ「蝶々夫人」を日本独自の視点から改良を加えて上演されましたが、これはどういう理由からですか。
岡村 実は「蝶々夫人」の原作の台本には、日本文化を誤認している箇所が11箇所もあって、ぼくは演じながら、ずっと疑問を感じてきたんです。
堀田 11箇所もあるとは驚きましたね。
岡村 僧侶である叔父のぼんぞーが、蝶々夫人に怒鳴ることばが「カミサルンダシーコ」。調べてみたら「神、猿田彦」のことらしい。
堀田 すごい解釈ですね。
岡村 ぼんぞーから絶縁を宣言された蝶々さんが泣き崩れる場面では、侍女のスズキが「イザーギ、イザナーミ」と言いながら仏壇の前で祈りを捧げているのですが、それは念仏「南無妙法蓮華経」、神仏混同です。実際、日本では神と仏は同じ神棚におさまったりしていましたが(笑)。
堀田 このオペラが書かれたのは1903年で日露戦争の前年でした。当時のイタリアには日本に関する情報が、まだ少なかったのでしょうね。
岡村 プッチーニは、日本のことを知ろうと手をつくしたのでしょうが、情報が少なかったために、細部で間違いが生じてしまったのですね。善意の間違いであるからこそ、われわれ日本人が善意で直さなければならないと思っています。
堀田 日本の歴史や文化を正しく海外に伝えるためにも、ひじょうにたいせつなことだと思います。
岡村 ぼくが一番問題だと思うのは、100年以上もこの間違いが放置されてしまったことです。音楽は、世界共通の文化ですから、海外の人たちに正しい日本文化を伝えていくのが、われわれオペラ歌手の務めだと思うんですね。

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