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心が通じ合うジャズの魅力

堀田 1962年に、米国ボストンのバークリー音楽院に留学されましたが、そのときの体験はとても大きいのではないですか。
渡辺 バークリー・スクールに行く前というのは、日本でジャズを教える人がいなかったんです。だからぼくたちは、ジャズ喫茶でLPレコードを聴いたり、GI(米軍人:government issue)のプレーヤーの後を追っかけたり、譜面を写させてもらったりして勉強していました。
堀田 当時はジャズを系統だててきちんと教えるところなんて、なかったですからね。

「ジャズは生きている音を出さないと意味がないんです」
渡辺 ですから、バークリー・スクールで学んだときは、まさに目からウロコといいますか、­­毎日が「ああ、そうだったのか」というような驚きの連続でした。
堀田 バークリー・スクール時代は、いろんなミュージシャンと共演されたようですね。
渡辺 ニューヨークでは秋吉さんにいろんなジャズクラブに連れていかれて、飛び入りでステージにあがらせてもらっていたので、チャールズ・ミンガスやアート・ブレイキーなど、いろんなミュージシャンに会うことができました。ディジー・ガレスピーなんかもいましたね。
堀田 トランペット奏者のディジー・ガレスピーですね。ぼくは東京のブルーノートに聴きに行ったことがあるのですが、彼は絶えずタオルで口元を拭きながら演奏していたんです。
渡辺 ほお〜、そうですか。
堀田 僕は一番前で聴いていて、隣に外国の方がいたんですが、その人が足下に置いたタオルを隠しちゃって、ディジーが随分困っていたのを覚えています。
渡辺 へえ〜、それはまた、なかなか楽しいステージでしたね(笑)。
堀田 ジャズではよくセッションをやりますが、ソロで演奏するときというのは、なにかシグナルを送るのですか。
渡辺 むかしはチャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーなど、ほとんどのミュージシャンが彼らのコピーをしている曲をやることが多かったので、自然にセッションができてしまうんですね。
堀田 サインを送らなくても、自然に自分の得意なパートを演奏することができるわけですね。
渡辺 同じ曲のなかで、お互いのメッセージを伝えながら演奏するんです。
堀田 音を通して自然と心が通じ合う。それがジャズの魅力なんですね。

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