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映画に影響されて始めたクラリネット

堀田 本日は日本を代表する世界的なジャズミュージシャン、渡辺貞夫さんをお招きしました。
 渡辺さんの著書「ぼく自身のためのジャズ」を読ませていただいたのですが、最初はクラリネットを吹かれていたそうですね。
渡辺 高校一年生のときに、ビング・クロスビーの「ブルースの誕生」という映画を観まして、黒人たちの演奏のなかに、10歳ぐらいの白人の少年が飛び入りで参加して、クラリネットを吹くシーンがあるんですが、それがとてもかっこよくってね。
堀田 その少年に憧れてクラリネットを選んだのですか。
渡辺 はい。それで宇都宮市の小さな楽器屋さんに行ったら、中古の継ぎ接ぎだらけの楽器が3000円で売っていたんです。
堀田 当時としては高いですよね。
渡辺 でも、ほかの楽器はもっと高かったので、親父にねだって買ってもらったんです。
堀田 それはうれしかったでしょう。
渡辺 はい。うれしくて家に帰ってさっそく吹いてみたのですが、どこを押さえても同じ音しか出ないんです。
 それでクラリネットを吹けるという近くの駄菓子屋のおじさんに音の出し方を教えてもらって、それからは自分で教則本を見ながら、毎日吹いていました。

父との忘れられない思い出

堀田 サックスに転向されたのは、いつごろからですか。
渡辺 サックスを吹いてみたいと思ったのは高校三年生のときで、これもまた映画の影響だったんですが、スケーターのソーニャ・へニー主演の「銀盤の女王」という映画でした。
堀田 その映画はぼくも観ました。当時はアメリカの音楽映画がたくさん入ってきましたね。
渡辺 映画のなかで、レス・ブラウン・バンドがサックスを格好よく吹いているのを観て、サックスに魅せられましてね。でも今度は自分で買おうと思ったんですよ。
堀田 アルバイトをしてですか。
渡辺 いえいえ、親父が電機の修理業をやっていまして、モーターやトランスなどの古い銅線をくず屋にもって行くと1kg300円くらいに売れたんです。
堀田 当時は銅が売れましたからね。でもそれではお金はなかなか貯まらなかったでしょうね。

「サックスに魅せられましてね」

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