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渡辺 それで親父が押し入れに貯めていた現金をちょこっと…。
堀田 くすねてしまったわけですね。
渡辺 はい。でも親父に「貞夫、お金はきちんと数えてあるんだよ」っていわれて、見つかってしまいました(笑)。
堀田 お父さんはお見通しだったわけですね(笑)。
渡辺 その後、親父と東京の神田まで行って、2万4000円もするタナベというメーカーのサックスを買ってもらいました。忘れられない思い出ですね。

生きている音をださなきゃ意味がない

堀田 戦後はいろいろなアメリカの音楽が流れ込んできて、若者にとってはほんとうに刺激的でしたね。亡くなりましたが、ぼくの兄も渡辺さんとちょうど同じ年齢くらいでしたが、ジャズが大好きで、チャーリー・パーカーのLP盤を毎日のように聞いていましたね。
渡辺 当時はジャズといえばチャーリー・パーカーでしたからね。
堀田 チャーリー・パーカーは渡辺さんと同じサックス奏者ですが、やはり彼から受けた影響は大きいですか。
渡辺 ええ。ほんとうに憧れの存在でした。でも残念ながら存命中にはお会いできませんでした。
堀田 当時、影響を受けたミュージシャンに、どんな方がいましたか。
渡辺 チャーリー・マリアーノですね。ぼくが18歳で東京に出てきたころ、たいへんお世話になったジャズピアニストの秋吉敏子さんの最初のご主人で、バークリー・スクールで教鞭をとったこともあるサックス奏者です。1953年に、ぼくは秋吉さんが率いていたコージー・カルテットに加わったのですが、いっしょに日本を旅行したり、ぼくの家に滞在したりして、毎日、生活をいっしょにしていましたから、演奏面では一番影響を受けていると思います。
堀田 渡辺さんがジャズを演奏するときに一番心がけているのはどんなことでしょうか。
渡辺 聴衆の気持ちにタッチする、つまり聴衆といい時間を共有するということです。
堀田 ということは、レコーディングよりもライブのほうがいいというわけですね。聴衆から力をもらえるとか。
渡辺 断然ライブのほうがいいですね。ライブは録り直しがきかないんですが、だからこそ一瞬一瞬がたいせつになる。ジャズは生きている音を出さないと意味がないんです。

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