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ハーピストにとって最も大切な曲

堀田 直木賞作家の宮城谷昌光氏はシュポア作曲の『幻想曲』(1994年録音)を聴いて、著書の中で、「吉野直子のハープの演奏を聴いたとき、美しいだけで終始しない何かを感じた。この人はすでに世界のトップレベルにあるのか、と祝福をこめて思った」と、大層褒めてみえるんです。
吉野 私は表現する手段として、ハープが一番しっくりきます。ただ、「女性的で優しい音、優雅な演奏」で終わってしまうのは嫌で、ハープでも、いろいろな世界や、広がりが出せると思っています。
堀田 『フルート、ヴィオラ、ハープのための作品集』(1993年、ユニバーサルミュージック)は、ほかのCDとはまた違った趣(おもむき)がありますね。他の音楽家と一緒に弾かれるときは、やはりライバル心のようなものがあるのでしょうか。
吉野 それはないですね。このCDに収録されているドビュッシーの『ハープとヴィオラとフルートのソナタ』は、ハーピストにとって、最も大切な室内楽の曲といっても間違いありません。フルートとヴィオラとハープ、全ての楽器が無理をせず、自然にお互いを生かし合うことのできる曲なので、「無理してがんばらなきゃ」というのは、全くありません。
堀田 相性もありますよね。相手を尊敬できるかとか。
吉野 室内楽では、自分だけでは出せない音色や新しい一面を、共演者が引き出してくれたりするので、とても楽しいです。共演したフルートのオーレル・ニコレさんは知識が豊富で、人間的にも素晴らしい方。ヴィオラの今井信子さんとは、何度も一緒に弾かせていただいていて、年上のお友達と打ち解けて話しているような安心感があります。
堀田 今井さんはサイトウ・キネン・オーケストラの常連でしたものね。
吉野 私は若い頃から、自分の親でもよいくらい年が離れている方と共演する機会に数多く恵まれたおかげで、たくさんの素晴らしい方から、いろいろなことを教えていただきました。

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