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東北の人に微笑みが戻りますように

堀田 その後、仏像彫刻へと進まれるわけですが、何かきっかけがおありになったのですか。
滝田 『徳川家康』の後、『レ・ミゼラブル』※3という大きな舞台が決まりました。オーディションから含めると16年間、身も心もボロボロになるまで演じきって、「次は何だろう、何をしたらいいんだろう」と思ったとき、ふと浮かんだのがお釈迦さまでした。家康を動かした仏教って何だろうと、僕も知りたくなったんです。
堀田 仏像というのは、そう簡単に彫れるものではないですよね。
滝田 これもまたご縁なんですが、母の供養を考えていたときに、友人からプロの仏師を紹介されたんです。「仏像を彫るなんて、難しいでしょうね」と聞くと、「いや、鉛筆が削れれば誰でも彫れますよ」と。それなら僕でもできるだろうと、先生のお手本を見ながら、夜、ホテルの部屋で彫り始めたんです。本当に面白くて、気が付くと夜が明けていました。
堀田 滝田さんは節目節目で良い方と出会われていますね。東日本大震災のときには、地蔵菩薩を彫られましたよね。なぜお地蔵さまだったのですか。
滝田 あのような震災に襲われ、傷付いた方々にとって、如来では偉すぎる、不動明王は厳しすぎるし、観音菩薩は優しすぎるだろう、あ、お地蔵さまだと思ったんです。東北の人に、一人残らず微笑みを取り戻させてくださいと願を立て、お地蔵さまを彫りました。寄付を呼び掛け、お堂を建てて、毎年供養を行っています
堀田 仏像を彫るとき、イメージあるいはお顔のモデルはいらっしゃるんですか。
滝田 初めに決めるのは「目」です。理想は、母親のわが子に対するまなざし。目が決まれば、あとは顔の輪郭はどうにもなります。われわれ人間も、わが子を思うまなざしですべての人を見るようになったら、争いなんてなくなりますよ。

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