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「君は文学座だ」友人の一言で俳優の道へ

堀田 本日は俳優としてテレビ、舞台などに多数ご出演され、近年は仏像彫刻家としてもご活躍の滝田栄さんをお招きしました。滝田さんは背が高いんですね。
滝田 185cmあります。
堀田 滝田さんがこんなに大きいとは思っていなかったので、お会いしてびっくりしました。
 ところで、滝田さんは八ヶ岳にアトリエをお持ちなんですね。あちらはずいぶん寒いんじゃないですか。
滝田 年齢と共に、寒さがきつくなってきたので、冬は東京に戻ってきます。春から夏は八ヶ岳で。山に住んで、もう34年になります。
堀田 八ヶ岳にはよく行きました。かつては、八ヶ岳高原ロッジにある、八ヶ岳高原音楽堂が好きで、演奏会があるたびにしょっちゅう泊まりに行っていました。
 月並みな質問ですが、どうして俳優を目指されたのですか。
滝田 大学の同級生と映画の話をしていたとき、突然、「君は俳優になるべきだ」と言われて、それからなんです。「滝田君のタイプは劇団文学座だ」と、オーディションの傾向や対策も教えてくれて、まったくの素人だったのに、受かってしまったんです。
堀田 長い間、劇団の研究所にいらっしゃったんですね。
滝田 文学座の演出家、戌井市郎先生からは「人を見て、人を学びなさい」と言われていました。「まだ準備もできていないのに、テレビに出てチャラチャラした俳優になってはダメだ。しっかりと人を見て、大きな人間を演じられるようになってから行きなさい」と。劇団四季に移った後も、戌井先生の言葉はずっと胸にありました。
 10年ほど経ったころ、劇団四季の舞台をたまたま観たNHKのディレクターから、「一緒に仕事をしませんか」と誘いを受けたんです。僕もそろそろ表に出てもいいかなと考えていた頃でした。

大河ドラマ『徳川家康』に主演

堀田 戌井先生は、滝田さんの将来を描いてみえたんでしょうね。滝田さん主演のNHK大河ドラマ『徳川家康』※1は本当に素晴らしかった。家康の役作りには、大変苦労されたそうですね。
滝田 大河の主役は、生涯に一度しかできないんです。依頼が来たときは、もう天にも昇る心地といいますか、本当にうれしくて、興奮しました。
 僕はそれまで、どんな役でも一度台本を読めば、すぐに役になりきることができたんです。ところが、家康はまったくわからなかった。焦るほど空回りして、もう断ってしまおうかなというところまで追い詰められてしまったんです。
 そんなとき、静岡に家康が少年時代を過ごした禅寺※2があると聞き、お坊さんでも音を上げるくらい、厳しい道場らしいのですが、何とか頼み込んで一部屋空けていただきました。

「家康の心がまったくつかめず、役作りに大変苦労しました」

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