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国際音楽祭NIPPONにかける思い

堀田 これからの目標などをお聞かせいただけますか。
諏訪内 2012年に、国際音楽祭NIPPONを立ち上げました。これまで名古屋や横浜などで演奏会を開いています。
 私がこうして演奏を続けられているのは、恩師である江藤俊哉先生や、前の世代の先輩方から伝統を受け継いだおかげだと思っています。私は世に出るきっかけが海外のコンクールだったので、これまでは割と外へと関心が向いていたのですが、40歳を過ぎて、少しずつ日本に恩返しをしていきたいと思うようになりました。
 音楽祭では、東北の復興支援のためのチャリティー公演を開いたり、若い演奏家向けに公開レッスンを行ったりしています。音楽祭では、クラシックだけでなく、現代曲も演奏します。現代曲は、演奏者の方から聴衆に近づいていかないと、入りにくいと思うんです。演奏会の前に、作曲家から曲についてお話してもらうこともあります。解説があるだけで、作品を聞いた時に、より身近に感じることができます。
堀田 後に続く演奏者にとっては、諏訪内さんの演奏がスタンダードになりますね。

「今」を大切にしたい

堀田 日ごろ健康には気をつけてらっしゃいますか。演奏には、体力も必要でしょう。
諏訪内 ヴァイオリンは左右非対象なので、どうしても体が歪んでしまいます。ですので、その改善も兼ねて、機械ピラティスを続けています。ピラティスは、もともと戦争帰還兵のリハビリのために作られた体操なんです。激しい動きではないのですが、自分でバランスをコントロールするので、体幹が鍛えられます。
堀田 音楽家は肉体的にも、精神的にもタフじゃないと務まりませんね。
諏訪内 でも好きなので、苦ではないんです。
堀田 僕もそうですね。好きなことは、いくらでもできます。最後になりましたが、諏訪内さんの座右の銘をお聞かせいただけますか。
諏訪内 「今を大事にする」ということでしょうか。音楽は、演奏されたその瞬間に消えていくものです。二度と同じものはできないし、弾いてしまったらお終い。なので、われわれ音楽家は、一瞬にかけなきゃいけないんです。その瞬間に向かって、指揮者や楽団員全員が力を合わせていく。その場でしか味わえないという意味では、コンサートって、とても贅沢ですよね。でも、考えてみると、コンサートだけではなく人生も、一瞬の積み重ねなんですよね。
堀田 まさに一期一会ですね。きっと作曲家も諏訪内さんに演奏してもらって幸せだと思います。本日は楽しいお話をありがとうございました。


対談中の諏訪内晶子さん(右)と堀田編集委員長

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