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高血圧が続くと血糖値に影響するのでしょうか?

2013-02-18 (月) 16:54:20 投稿者 長野県 S・ H・

55歳の男性です。糖尿病になって約20年、SU薬を服用中です。
最近、血圧が高くなりました。高血圧が続くと血糖値に影響するのでしょうか。
また日常生活では、どのような注意が必要でしょうか。

Re:高血圧が続くと血糖値に影響するのでしょうか?
2013-02-18 (月) 16:55:05 投稿者 Dr.血圧は、血液が血管の中を流れるときに血管にかかる圧力のことです。
心臓が収縮して血液を押し出した瞬間は、血管に一番強く圧力がかかり(収縮期血圧:最高血圧)、収縮した後に血管は心臓内で広がります(拡張期血圧:最低血圧)。
糖尿病の患者さんは、高血圧を合併しやすく、糖尿病は高血圧も動脈硬化や脳・心血管疾患を増悪させる要因になります。また高血圧を合併すると糖尿病網膜症や糖尿病腎症、糖尿病神経障害などが進展しやすくなります。
高血圧の治療は、収縮期血圧が140mmHg、拡張期血圧が90mmHg以上の場合ですが、糖尿病患者さんでは軽度の高血圧合併でも動脈硬化が進み、脳卒中や心臓病の危険が高くなるため、130/80mmHg未満が目標とされています。
多くの臨床試験では血糖コントロールが良いと細小血管合併症(網膜症や神経障害、腎症など)や大血管合併症(脳梗塞や心筋梗塞など)の発症を減らします。
血糖値はHbA1c(国際標準値:NGSP) 6.2〜6.9%、空腹時血糖値110〜130mg/dL、食後2時間血糖値140〜180mg/dLにコントロールすると細小血管合併症の発症・進展を抑制できます。
しかし大血管合併症は、食後の高血糖の段階から発症するといわれ、HbA1c6.2%未満、空腹時血糖値80〜110mg/dL、食後2時間血糖値80〜140mg/dLにします。
血管合併症の予防には、厳格な血糖管理と血圧管理が必要です。生活習慣を改善すれば、高血糖や高血圧も改善します。生活習慣の改善をしても、血糖や血圧コントロールが不十分な場合は、薬物療法を行います。
糖尿病を伴う高血圧では、減塩が必要です。食塩の過剰摂取は血圧を上げ、食欲が亢進するので、食塩は多くても10g/日以内にし、高血圧や糖尿病腎症を合併していれば6g/日未満にします。減塩は肥満者の体重を減らし、血圧を下げる効果もあります。
運動療法は血糖コントロールのみならず、降圧にも有効です。喫煙は脳卒中や虚血性心疾患、糖尿病腎症、網膜症、神経障害の大きな危険因子ですから禁煙も重要です。
家庭で測定した血圧記録は診療時にかかりつけ医に見せておきましょう。
家庭血圧の測定は朝、起床後1時間以内の排尿後に座位1〜2分間の安静状態をとり薬剤の服用前に行います。就寝前は、座位1〜2分間の安静後に測定しましょう。

陣内 秀昭(陣内病院・院長)

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