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漫画家の清水崑先生に師事

堀田 それで絵の世界に入られたんですね。
木久扇 ええ。でも、その前は工業高校の食品科に入って、森永乳業(株)に就職しました。年に4回もボーナスが出て、厚生施設も充実していて、素晴らしい会社なんですね。普通は喜ぶんでしょうけど、僕は「これじゃ、会社につかまっちゃうな」と思って。僕はほかにやることがあるんじゃないか。絵が描けるのに、これでいいのかなと悶々としておりました。
 永瀬君という親友がいまして、彼は出版社のアルバイトで、原稿取りをしていたんですね。初任給で、彼にごちそうしたんです。僕が牛乳の作り方から、会社勤めの苦労までとうとうと話をしていたら、彼が「お前、絵がうまいのにもったいないな。俺知ってんだけど、長谷川町子さんは4コマ漫画一枚で3万円取るんだぜ」「え!」と。僕の半年分の給料じゃないですか。「いろんな漫画を描いて、友達を喜ばせていたお前だったら、男の長谷川町子になれるんじゃないかな。やってみないか」「そうかね」「お前ならできるよ」。若いから舞い上がっちゃってね。「清水崑さんて、カッパの漫画で有名な先生が書生さんを探してるから、行ったらどうだ」と。それが漫画に転向したきっかけなんです。
堀田 漫画もお上手ですし、俳人として句集も出版されていますね。師匠は多芸な方ですね。

人生は後半からが美しい

堀田 普段健康で気を付けていることはございますか。
木久扇 僕、元気そうに見えますけどね、割と身体が弱いんですよ。小学校4年のときは肋膜炎で半年学校休んだし、42歳で腸閉塞をやりまして、死にそうになりました。それから16年前には胃がん、2年前は喉頭がんになりました。

堀田 そんなふうに見えませんね。
木久扇 よみがえるのが得意なんですよ(笑)。あとは、お酒もずいぶん飲みました。宴席でいつも感じ良く思われたい気持ちがあって、なかなか断れないんですね。
堀田 サービス精神が旺盛なんですね。今日お話を聞いていても、なんと頭の回転の速い方だろうと感じました。臨機応変に答えを見つけられ、前に進まれている印象が強かったです。
最後に、座右の銘を教えていただけますか。
木久扇 『人生は後半からが美しい』とよく書きます。あとは、笑いも大事ですね。『人生の達人とは、よく笑う人』だと思います。
堀田 本日は楽しいお話をどうもありがとうございました。

対談中の林家木久扇さん(右)と堀田編集委員長

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