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うまい答えはつまらない

堀田 僕の高校時代の恩師、国語(古文)の先生である関山和夫先生も、大の落語好きで、授業中によく落語を演じて下さいました。ですから、僕も非常に落語に親しかったんです。「笑点」も、円楽さんが司会を務められる前からずっと観ています。木久扇師匠と僕は同い年なんですよ。こうして実際にお会いすると、テレビで見るよりずっとお若いですね。
 「笑点」ではポイントポイントで、座長の歌丸さんが木久翁師匠にあてて、それで「笑点」はうまく回っているのかなと思います。
木久扇 歌丸さんが先に答えを言っちゃったりね。うまい答えや良い答えは、意外とつまらないんです。突飛で、間の抜けた答えの方がおもしろい。例えば、「敵は本能寺にあり」「本能寺の変」っていうのは、歌丸師匠にさされて、答えが整っていなかったので、孫が口ぐせの『本能寺の変』とやったら、わっと受けたんですよ。
堀田 「笑点」はかなりトンチが必要ですよね。誰も思い付かない、おもしろい答えを言う方が、お客様は喜びますね。

映画館で働いた少年時代

堀田 落語では、老若男女を始め、さまざまな役柄をお一人で演じますね。今こうして身振り手振りを見ていても、しぐさが本当にお見事ですね。
木久扇 小さい頃から映画をたくさん観ていたから、得してるんですね。頭の中に、パッと絵が浮かぶんです。収録でも、カメラの上に赤いランプが付いて、「あ、撮っているな」とわかると、どうしたら絵としておもしろくなるか、瞬時に考えます。それを自分でおもしろがっているんです。
 僕が子どもの頃は日本中が貧しくて、僕も夏休みになると、映画館でアイスキャンデー売りのアルバイトをしていました。一本5円で、その内、2円が僕の取り分。かけそばが一杯17円、映画館の入館料が80円の時代です。時代演劇の片岡千恵蔵や、嵐寛寿郎、鞍馬天狗などの声色をできるのは、このアルバイトおかげですね。
堀田 働いた結果として、声色が身に付いて、今に生きているんですね。

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